日頃より、当院の診療にご理解とご協力をいただき誠にありがとうございます。
この度、当院では新しいがん治療機器「ELECTROvet EZ」を導入し、電気化学療法を開始いたしました。
これにより、これまで手術が困難だった部位のがんに対して、新しい治療の選択肢をご提案できるようになりました。

電気化学療法とは、抗がん剤と電気を組み合わせて、がん細胞をピンポイントで攻撃する治療法です。
通常、抗がん剤は点滴などで全身に投与しますが、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えてしまうため、副作用が課題となることがあります。
電気化学療法では、抗がん剤を投与した後、がんの部分に専用の電極を当てて、ごく短い(マイクロ秒単位の)電気パルスを流します。すると、がん細胞の膜に一時的に目に見えないほどの小さな孔(あな)が開き、そこから抗がん剤ががん細胞の中へ集中して流れ込みます。
これにより、少ない抗がん剤の量で、がん細胞に対して高い治療効果を発揮することが可能になります。正常な細胞への影響を最小限に抑えることができるため、全身的な副作用も少ないのが特徴です。

⚫︎体への負担が少ない
通常の化学療法に比べて抗がん剤の使用量が少なく、全身的な副作用が出にくい治療法です。
⚫︎治療時間・麻酔時間が短い
処置は比較的短時間(30分程度)で終わることが多く、体への負担を軽減できます。多くの場合、日帰りでの治療が可能です。
⚫︎手術が難しい場所のがんにも
顔や口の中、足の先など、これまで手術で大きく切除する必要があったり、手術そのものが難しかったりした場所にある固形がんも治療の対象となります。
⚫︎高齢や持病のある子にも
体への負担が少ないため、高齢であったり、心臓病などの持病があったりして、長時間の麻酔や手術が難しいと判断された子にも適応できる場合があります。

皮膚や皮下、口腔内など、体の表面から直接電極を当てられる範囲の固形がんが主な対象です。
<対象となる腫瘍の例>
犬や猫の口腔内メラノーマ、扁平上皮癌
皮膚の肥満細胞腫
肛門周囲の腫瘍
手術で取りきれなかった腫瘍の再発防止 など
